出会いはマッチングアプリ

ある時期、俺はマッチングアプリにハマっていた。
「マッチングアプリに美女はおらんでしょ?やっぱりリアルが最強でしょ!」
と、思っていた俺だが周りの人があまりにも勧めてくるので仕方なしに始めたのがキッカケだった。いざ始めてみると、思っていた10倍は楽しかった。美女が多く、簡単にアポを組める。いわゆる入れ食い状態だったのだ。
涼しい部屋で、ビールを片手に、美女の連絡先をゲットできる。
考えた人だれですか?天才ですか?
その日マッチングした女性は、これまでマッチングした女性より数段上の美女だった。もちろん写真での判断だが俺には分かる。プロフィールを見ると長身でスタイルも良さそうだ。基本的に美女であるほど難易度は上がるのだが、この美女に関してはサクッ連絡先を交換して、サクッとアポまで組むことができた。
え、イージーゲームってやつ?
アポ当日

待ち合わせ場所に来たのは、俺が想像していた以上の美女だった。美意識も高く、自分の見せ方をしっかりと分かっている。職業モデルですか?それとも女優ですか?今日は楽しい夜になりそうだ。
いつものようにお酒を飲み、いつものように話し、いつものように楽しんだ。
ただ、少し違うのが彼女自身が壁を作っている事だった。結局、俺は崩すことができず、その日は何もなく解散となった。
inタワーマンション

2回目のアポは向こうからの誘いだった。
「今度、私の友達たちとタワマンでパーティーするんやけど、よかったら来ない?」
ピーンと来た。なるほど、アレですか。怖いもの見たさで行くことにした。
扉を開けると
男女20人はいただろうか。俺は彼女に連れられて、そのパーティーを主催している男性のところへ挨拶をすることに。
「君がヘプ太くん!話は聞いてるよ!今日は楽しんでね!」
その後、お酒を飲み、初対面の男性や女性とたわいもない話をして過ごすこと1時間。
タワマン脱出
飽きて来た俺は彼女に一言告げタワマンを出ることに。すると、主催者の男性が「ヘプ太くん、LINE交換しようよ!」と俺のところへやって来た。交換だけしておいて、あとでブロックすればいいやと思い交換。そして、タワマンを出る。
inクラブイベント

タワマンパーティーを主催していた代表者から1通のLINEが届いた。
「今度、クラブでイベントするんやけどヘプ太くん来ない?○○ちゃん(美女)も来るよ」
ここまで来たら、とことんいってやる(何か面白いこと起きろ)と思い参加することに。
おっと、危ない。目的を見失うところだった。俺の目的は彼女をゲットすることだ。
扉を開けると
代表がDJをしている。てか、あの人何者なん?
ちなみに前回のタワマンパーティーも今回のイベントも全て無料。お金はどっから出てんの?
とりあえず彼女と合致。今日なかったらもう終わり。しばらく彼女と話していると、彼女の先輩という人物も合流することに。
クラブ脱出
このままでは彼女をゲットできない。そう思った俺は彼女にクラブを出ようと打診。彼女からオッケーをもらい俺たちは2人でクラブを出ることになった。
2人だけの時間

クラブを出た俺たちは近くのBARへ入った。
ここまで「?」な出来事が多かったが、それを解決するために2人きりなったんじゃない。最大の目的は今晩彼女と過ごすことだ。マッチングアプリという海で連れたこの大物を逃してはならん。
と、思っていると・・・
彼女「ヘプ太くんてどんなシャンプー使ってるの?」
俺「!?!?!?」
彼女「すごいおすすめのシャンプーがあるんだけど使ってみない?」
俺「!?!?!?」
何の文脈もなく
いきなり、何の文脈もなくシャンプートーク。かめへん、かめへん。
そこから彼女によるシャンプーのプレゼンが始まった。かめへん、かめへん。
彼女「ヘプ太くんも使ってみて、良かったら友達とかにすすめてみてよ」
予想が確信に
正直、俺の心は折れていた。損切りだ。もういい。これ以上何もない。
俺「○○ちゃんって、ア○ウェイってやつ?」
彼女「そうだよ!」
やはりそうだった。ここまでの流れは全て俺を仲間に入れる作戦だったのだ。途中から分かってはいたが、いざ聞くと少し寂しい気持ちにもなった。あの時の会話も、あの時の笑顔も、全ては仲間に入れるために・・・
この美女分かってやがる。
損切り

その時から彼女と連絡することはなくなった。恐らく、あと何回会っても無理だろう。そうなればその時間を他の女性に費やした方がいい。損切りと言っているが、シンプルに俺の負けだ。
マッチングアプリを覗くと、まだ登録はしているようだ。アレだけの美女。コロリと仲間に入る男性は多そうだ。
負けが俺を強くする

俺はフロイド・メイウェザーではない。負けることもある。失敗もする。今までの人生を振り返ってもそうだった。何度も負け、何度も泣いてきた。
でも、そこで終われない。負けた原因を分析し、自分の力に変えていく。もっともっとオシャレと美容にこだわり、場数を重ねていく。まだ見ぬ美女と過ごすために。
